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三尺坊と才一郎

二十三 神罰しんばつ

 ひまさえあれば、機会おりさえあれば才一郎さいいちろう人々ひとびと質問しつもん標的まとになり、この前日ぜんじつ同様どうよういろいろの面白おもしろはなしやら、有益ゆうえき注意ちゅういやらがそのくちかられました。

先日せんじつ頂戴ちょうだい御札おふだ御供物おくもつおうせられたとおりに取扱とりあつかいましょうか。』

 泰治たいじ質問しつもんからはじまりました。

『イヤそれにきて』と才一郎さいいちろうこたえました。『三尺坊さんじゃくぼうさまおうせには、そのほう親類しんるい宮新田みやしんでんほう信心しんじんうすきものであるからおふだをつかわすのをめ、対馬守つしまのかみ信心しんじんあつゆえにそれへつかわすがよいとのござります。また供物くもつ丹羽にわ七へ半包はんつつみ千賀ちがろう半包はんつつみつかわし、町内ちょうないにも信心しんじん不信心ぶしんじんものあるゆえ、それにはおふだばかりつかわし、お供物くもつ才亮さいりょう泰治たいじ半包はんつつみづつつかわせ。かの七は奇特きとく参詣さんけいするものじゃ……。ういう三尺坊さんじゃくぼうさまおうせでござります。』

『イヤ神様かみさまなに御存知ごぞんじでは油断ゆだんすきもあったものではない……。』

 一どうこれをきいて難有ありがたいやらおそろしいやら、ますます信心しんじんするになりました。

ときにあなたさま夜前やぜん何所どこからおはいりになりましたか。』

連子れんじ隙間すきまからはいりました。』

『ナニ! 連子れんじ隙間すきまから……。こりャうもおそった! かみさまのちからというものはとても人間にんげんにはわかりませんナ。これから生意気なまいきくちはきかんことにしましょう……。ときうかがいますが、なか不信心ぶしんじん随分ずいぶん心掛こころがけるいものもありますが、何故なぜそんなものに神罰しんばつあたらないのでしょう?』

『イヤ神様かみさまるべくばちてぬようあそばされます。ただ御眷族ごけんぞくなかにはばちてるのがお役目やくめかたがあって、その方々かたがた昼夜ちゅうや空中くうちゅう御巡回ごじゅんかいになります。運悪うんわるくんなかたにお出会であいになると大変たいへんござります。ばちあてかみ万事ばんじ御免ごめんになってり、思召おぼしめし次第しだいんなことでもやりますからおそろしいです。おやまには用心ようじんということがありますが、それは方丈ほうじょう申付もうしつけることだそうで、かみほうにはないことで御座ござります。ただあまりにかみのお気障きざわりになる不行状ふぎょうじょうのものはくこともいではないので……。そうじて神様かみさまのなさることには規則きそくってく、くてあります。何事なにごと信心しんじんすればかみはおかなえになりますが、よこしまなるねがいかなわぬのみならず、ってばちあたります。』

矢張やは信心しんじんというものは、心掛こころがけ一つのようだ』といて人達ひとたち感心かんしんして

『それはそうと方々ほうぼうあるきのうちには国々くにぐにによりて随分ずいぶんめずらしことがりましょうナ。』

左様さよう中々なかなかあります。日本にほんうちにもこめが一ねんに二れるところがあり、綿わたも二れるところがあります。』

るほど……。シテ神様かみさま何国なにこく言葉ことばをおもちいになります?』

日本にほんうちの一ばんよい言葉ことばもちいてられます。イヤ言葉ことば国々くにぐにでいろいろにちがいます。京都きょうとではうなじの命毛いのちげをボンノクソといい、大阪おおさかでは十のうをオッカキといいます。それから京都きょうとでは五とくを三とくといい、大阪おおさかではシチリンをカンテキとびます。食器しょくきなどもめずらしいものがあります。越後えちご信州しんしゅうさかいにはジャガタラいももういも御座ござります。いもし、くしして囲炉裏いろりのへりにけたとき味噌みそをつけてべます。このいも横浜よこはまには沢山たくさんあります。』


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