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三尺坊と才一郎

二十 ころがりちる鉄砲玉てっぽうだま

 話題わだい次第しだい信仰しんこうじょう諸問題しょもんだいうつってきました。

御神前ごしんぜん婦女子ふじょしるのははばかるべきものでしょうか。』

『イヤ禁制きんせいもうすことはありませぬが、人心じんしんうやまゆえやま御本宮ごほんぐうへはあがることはならぬとして御座ござります。月潮げっけいのけがれは七でよいとしてあります。同火どうかのけがれは御座ござりませぬ。俗家ぞくかにてはとてこまかに行届ゆきとどくというわけにはまいりませぬ。神様かみさま精進しょうじんでは御座ござりませぬ。魚類おさかなそなえてもかまいません。秋葉あきば方丈ほうじょう婦人ふじん魚類さかななどのかいやぶりたるときもりきます。また不浄ふじょう材木ざいもくをおみやなどへもちいたときやします……。』

天狗様てんぐさまにさらわれてくものもありますか。』

わたくしども三にんのようにれてかれるものはありませんが、現心うつつごころなきものになってるものは一ヶげつに三四にんづつはあります。そんな場合ばあいには大声おおごえ富士ふじ浅間せんげんみやである、おがめともうしておがませ、のつくようにいたしてそのうちかえします。』

『おやま参詣さんけいするには精進しょうじんしてくのがよろしいですか。』

大概たいがい精進しょうじんしてまいほうよろしいです。』

雪駄せったかわ裏附うらつきまいることはいかがなものでしょう?』

かわは一とうむものでありますから、そのおきてやぶるのはわるいとおもいます。』

会津あいず戦場せんじょうにも、信心しんじんもの御座ござりましたか。』

左様さようりました……。信心しんじんしてものみなたすけてやりました。』

 その問答もんどうはこんなところでおわり、さらくる四また御神徳ごしんとくかんする物語ものがたりつづきました。

 師匠ししょう柳田やなぎだ用心深ようじんぶかく、

しもあなたがあまりに神界しんかい秘密ひみつらされると神罰しんばつのほどがおそろしくあります。何卒どうぞ差支さしつかえないかぎりおかせください。』

とあらかじめ注意ちゅういすると才一郎さいいちろう

『イヤもうしてならぬことははじめからいささかももうしませんから、御安心ごあんしんねがいます。』

とのこたえでした。

『では早速さっそくうかがいますが、白牛様しろうしさまふるくからおやまにおでになりますか。』

左様さようなんねんまえからります。したがってものもい、また力量ちからは、こちらの申付もうしつけ次第しだいで、おしろでもってまいります。かたちなども、ちいさくもおおきくも、勝手かって次第しだいございます。』

『おやまにはそんな重宝ちょうほうなお使者つかいほかにもありますか。』

左様さよう、いろいろあるにはありますが、沢山たくさん御座ござりませぬ。世間せけん沢山たくさんあるなかから折節おりふしやまにおれになるのです。』

 するとこのときだれやらが、

空中くうちゅうから戦争せんそう御覧ごらんになったら、さぞ面白おもしろいことでござりましょうナ。』

ふたた戦争談せんそうだんしますと、

『イナなかなか面白おもしろいどころか、づつないことであります。かち人足にんそくなどつかって軍器ぐんき運搬うんぱんきぬときには、当方こちらかち人足にんそくへんじ、自由じゆう自在じざい持運もちはこび、火急かきゅううようにさせねばなりませぬ。わたしどもがたすけた軍兵ぐんぺいどもが陣中じんちゅうかえり、おびなどきますと、コロコロと鉄砲てっぽうたまころがりちるときがあります。そんな場合ばあいには、これはかみのおかげであるとこころづいて、御酒おみきそなうるものもありますが、なかにはまたただ天運てんうんだとって、一こう供物そなえものもせぬのがあります。神様達かみさまたちはそれを御覧ごらんになっておおいにおわらいになられます。信心気しんじんげのないものはがいして戦死せんしまた手負ておいとなります。熱田様あつたさまなかでも沢山たくさんたすけになりました。ほか神様かみさま相当そうとうはたらきでした。当家こなたのおみやはおやま神様方かみさまがた御休息所ごきゅうそくじょとなり、皆々様みなみなさまでになって、一両日りょうじつ御逗留ごとうりゅうになることも度々たびたびございます。』

『そのせつ何所どこにおでなされますか。』

御社壇ごしゃだん内部なかられます。』

何所どこから御入おはいりになります?』

はいろうとおもえば何所どこからということなしにただちにはいります。こなたのおみや尾張国おわりのくにだい番目ばんめのおやしろござります。去年きょねんいただきの御幣ごへい三尺坊さんじゃくぼうさまづからおりなされた御幣ごへい、それがおさまってるおみやですから、段々だんだん御評議ごひょうぎうえ、おみやのおくらいたかうなったのです。』

『そのたかひくいともうすはどういうわけ御座ござりますか。』

『されば、その御社おやしろをおあずかりの御眷族ごけんぞくさま御位おくらいたかうなるゆえござります。』

『すると私方わたくしがたのはたか御方おかた御座ござりますか。』

左様さよう羽休うきう津島つしま橋詰はしつめ御社ごしゃぎの御方おかたがおいでになります。その御方おかた御眷族ごけんぞくさま沢山たくさんことであります。』


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