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心霊研究とその帰趨

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―― 「神霊主義」より改題、新字・新かな遣い版――

浅野和三郎著


底本:「心霊研究とその帰趨」 心霊科学研究会

発行: 1940(昭和25)年07月15日

※「旧字体を、新字体に置き変えて底本の表記をあらためました。また、HTML版では、底本中の傍点表記を、下線表記に置き換えました。また、底本中のルビ と、入力者による振り仮名は、右の様に表示されます。表示事例ひょうじじれい

入力: いさお

校正:  たぬ


 本書は昭和八年八月、浜寺海岸において開催された『夏期心霊講習実験会』のために特に私が執筆せる稿本にもとずき、これに徹底的修正増補を加えて最近脱稿したものである。従ってるべく平易直截ちょくせつに、又るべく問題の全体にわたりてれなく要領を得さすべく工夫したつもりである。ただ遺憾いかんなのはここで読者に心霊実験をお目にけられないことである。講習会においては北村、亀井、小林の三霊媒を用いて本書中に講述した心霊現象の大部分――卓子テーブル及び物品浮揚、直接談話、透視、自動書記、霊言、思想伝達等――を一々実験して見せることができた。又講習者に対して同時に精神統一の実習を行い、もっる程度体験を獲得せしむることもできた。そうした便宜をられない本書の読者は、事によると半信半疑の域を脱し兼ねるかも知れないと思う。まことに残念であるが致方がない。が、もしも、心から心霊実験を希望さるる方があったら、私はいつでもこれに対して最大の便宜を与えることを辞せぬであろう。

 さて心霊事実の検討の結果、百人中の九十九人までは皆神霊論者になるを通則とするが、私もその一人である。私はこの数年来これにつきて断片的には時々所見を発表して来たが、いよいよ意を決して、その全豹ぜんぴょうを具体的に提唱することになったのは、実に今回が最初である。私が初めて心霊問題に関心を抱くことになったのは大正五年であるから、私のかんがえがここまで熟するのに前後十八九年の歳月を要した訳である。枝葉の点につきては、今後においてもあるいは多少の修正を施す場合があるかも知れぬが、私の主張の中心骨髄に動揺を来すことは断じてないと思う。私からいえば、この神霊主義は、儼乎げんこたる科学的事実の論理的帰結であり、従ってそれは一大自然の法則そのものであり、地上の人類の指導原理として、恐らくこれ以外、又これ以上のものは到底見出されないであろうと信ずる。少なくともこの神霊主義の中において、科学と宗教とは完全に握手し、道徳と哲学とは立派に安住の地を見出すのである。

 私は最も厳粛げんしゅくな気分で、この小著を大方の識者に献げるものである。

   昭和九年二月

浅野和三郎識



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