本篇収むる所併せて十五篇。何れも雑誌『心霊と人生』誌上に発表されたものである。従来日本神道を説くもの少なからずと雖も、未だ心霊学的に之を説いたものを見ない。而して此に収められたる各篇、必ずしも、真正面から神道を説いたもののみとは限らないが、各篇相互連絡を保ちつつ、神道並に神に関連する事項に対し、各角度から観察を下し、以て綜合的理解に達せしめんことを期せるものである。
日本の神の道は、元来超然として各宗教の上に位し、しかも其の真理は、各宗教の原理を包含して、綽々として余裕がある。是れ日本が、従来如何なる宗教をも包容し得たる所以である。而して心霊科学は、単り各宗教の原理とするもののみに限らず、動もすれば宗教の排撃を受けんとする、あらゆる科学をも、其の懐裡に抱くことを辞せざるものなるが故に、神道の真を説かんとせば、心霊科学を以てするにあらざれば、幾ど不可能に属すと謂うも、敢て過言ではあるまい。
凡そ真理を攫得せんがためには、先ず先人的な、一切の捕われから脱却し、同時に自己の小主観を以て、概念的に他の排斥などを試むべきではない。真の神の道が闡明されずに、私達は余り久しきを過ごして来た。本書素よりその全般を尽したものとはいえぬが、日本神道の真髄丈は説き得たものと思う。読者幸いに虚心坦懐を以て之を読破さるるならば、始めて日本神道の玄奥を髣髴し得るであろうことを疑わない。
昭和十三年五月
浅野正恭識
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