心霊読本

第四篇 人間とその環境

四、人間の環境

 以上人間それ自身に就きての考察を一と通り済ませましたので、今度は人間の置かるる環境に就きて簡単な説明を試みることにします。

 すでに人間の構成要素が四階段に大別される以上、人間の置かるる環境も、また当然四大界に大別さるべきはこれを推定するに困難はない筈です。要するに働くべき環境があるから、これに適当なる機関が人間に備わるので、すべては物理学者の振動バイブレーションの原理で説明ができます。若しも人間にそれぞれ振動数の異なった媒体がそなわりながら、之等これら諸媒体の振動に共鳴感応する、それぞれの世界がなかったとしたら、それこそ天下の不可解事であらねばなりません。

 果せる哉近代物質科学は、いち早く超物質的エーテルの存在を認め、エーテルが物質の内面、及び空間全体に遍満へんまんして居ることを教えて居ります。が、物質学者の説く所はお概念的で、超物質界の全部を概括的にエーテルの一語で表現するにとどまり、エーテルに階段が有るか、無いか、又エーテルの世界に居住者がいるか、いないか、等の諸問題に対しては、お未だ一指をむるに至らないのであります。この大欠陥を学術的に補充せんとするのが、取りも直さず近代心霊科学で、霊媒と称する特別に鋭利なる機関を用いて、実験的に調査を進めつつあるのであります。

 心霊科学の方面からいうと、超物質的エーテル界の存在はもとより、その内面の機構までも、る程度判って来たのであります。この目的に使用せらるる霊媒の用途は、概して二方面に分れます。第一は霊媒の発揮する第六感能力(主として霊視能力)、第二は霊媒によりて受取らるる霊界通信(主として自動書記)であります。つまり前者は人間の世界から、他界を知ろうとするヤリ方であり、これに反して、後者は他界の居住者から人間界に知らせようとするヤリ方であります。現在のところ、エーテル界を探るには、この方法以外には絶無であります。が、何を言っても、従来はまだ心霊科学の創業時代に属し、従ってもちろん研究の余地はまだまだ無限に存在しますが、しかし、最早うあっても動かすことのできない基礎的事実、換言すれば、厳正なる比較研究の結果、世界の心霊学者の間にほぼ一致点を見出した事実は、すでになり沢山集積され何人もこれを無視する訳に行かなくなったのであります。私は左に要点を摘出して箇条書きにします。――

一、人間の使用する機関が四つに別け得る如く、人間の置かるる環境もまた四大界に別け得る。

二、四大界とは、第一が現界、第二が幽界、第三が霊界、第四が神界である。

三、是等これらの四大界は更に滲透的しんとうてきに重なり合っている。即ち現界の奥に幽界、幽界の奥に霊界、霊界の奥に神界が内在する。

四、是等これらの四大界はもちろん、地球の所属と考えるべきであるが、ただ地球の霊界、神界等は他の諸天体のそれ等と四通八達であるらしい。

五、人間はその肉体をもって現界に通じ、その幽体をもって幽界に通じ、更に又その霊体、本体等をもって霊界、神界等にも通じ得る可能性を有って居る。

六、幽界以上は感官的には不可視的、又不可量的の世界であるから、地上の人間は適当なる調節法(精神統一法)を講ずることによってのみ、これと交通することができる。

七、幽界以上の各界にもそれぞれ特殊の居住者が居り、又それぞれ特殊の秩序と組織とが存在する。

 以上はホンの粗枝大葉をいつまんだまでであります。私は読者が一と通り心霊上の事実と理論とにしたしまれてから、別に篇を改めて彼岸の生活を物語らうかと考えます。が、断って置きますが、地上の人間としてどうやら探り得るのは、せいぜい幽界、霊界位のもので、最奥の神界となると、そろそろ始末に困るのであります。観念的に神は内に在りだの、大悟徹底だのと申すことは、何人にもできますが、要するにそれは単なる自己陶酔に過ぎません。さればかのステッドの如きも、他界から通信を寄越して、正直に自己力量の不足を告白して居ります。――

『人間の地上生活は言わば一の駅場、それぞれの進化の最初の駅場に過ぎない。現在の私の幽界生活は第二の駅場である。われ等はまだ不完全である。われ等はまだ希望欲念を脱却し得ない。われ等は依然として神に遠い。要するに宇宙は、私の想像して居たよりも遙かに広大無辺であり、その秩序整然たる万象の進展は、真に驚歎に値するものがある……。』

 私はこれが真に正直な人間の告白であると信ずるものであります。


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