心霊読本

第二篇 心霊現象と霊媒

二、霊媒の種類並に背後の守護霊、司配霊

 今度は霊媒につきて一言しますが、物質界に起る一切の現象が、皆一種の心霊現象であるといい得る如く、見様によりては一切の人間は皆一種の霊媒で、間断なくその環境から何等かの無形の影響を受けて居るのであります。われわれはそう信じねばならぬ多くの動かすべからざる理由をって居る。勿論むろん大多数の人間はそうであることを自覚しては居りません。が、それは本人が自覚しない丈の話で、今日の心霊科学は理論的にも、又実験的にも、確実にこれを証明すべき用意を整えて居ります。

 が、今はそうした問題に触れている時期でありません。私がここで霊媒というのは、勿論むろん人間中の変り種、何等かの異常能力を具備している、特殊の人物に限るのであります。つまり本質的には普通人と霊媒との間に、何の相違がある訳でなく、ただ普通人にできない現象が、此等これらの人達にできるというまでて、その点他のあらゆる技能と全然同一であります。

 さてこの狭義の霊媒――これにも無論いろいろの種類があります。大体において述べると、それは矢張り二大別することが出来ます。即ち――

 (一)物理的霊媒

 (二)主観的霊媒

であります。つまり前者は物理的心霊現象の作製に堪能なる霊媒、又後者は主観的心霊現象の作製に堪能なる霊媒、であります。が、実際問題とすれば、霊媒中には一人でよく幾種類もの心霊現象の作製に堪へる者があり、なかなか型にはめて分類することができません。で、私は平生取扱上の便宜から、霊媒を左の四種類に分けることに致して居ります。――

 (イ)原料供給の物理的霊媒――これは一種特別な体質の所有者で、自身の肉体組織の中から物理的諸現象の作製に必要なる原料――所謂いわゆるエクトプラズム又はテレプラズムを供給する人達であります。この際彼等の体躯は、言わば一の原料品の倉庫、のような役目をするから、従ってこのしゅの霊媒はその体力が強健であるを要します。亀井霊媒などがその好標本であります。

 (ロ)没我式の巫女型霊媒――これ等の人達は通例、自分自身の人間意識を断滅して、自分の体躯をば、通信を希望する他の霊魂の用途に供し、言わば一の活きたラ ジオ機械に似た働きをするのであります。この種の霊媒に起る最も普通な現象は霊言現象で、自動書記がこれにぎます。英国のレナルド夫人などがその標本であります。

 (ハ)第六感式の敏感者――この種の霊媒の生命は主としてその敏感性に存し、そしてその意識は受身の状態に保たれて通例最後まで残ります。無論多くの場合において、背後からこれを助くる霊的存在はありますが、必ずしも幽明交通が主眼でないから、霊媒という文字がぴったり当てはまるとも言われない。この種の霊媒の発揮する能力は主として霊視であり、そして補助的にしばしば自動書記現象が伴います。北村霊媒などがその好標本であります。

 (ニ)天才型――ここになると、霊媒という用語が一層不穏当かも知れませぬ。すくなくとも本人自身は霊媒をもって任じない、強い強い自力宗の信者であります。が、これは本人がただそう思う丈で、彼等の発揮する能力はたしかに一の霊感、換言すれば超現象の世界から放送さるる霊波の所産なのであります。ワード氏の霊界通信の一節、『すべてのインスピレーションの本源はことごとく霊界にある。文学、美術、音楽等に限らず、機械類の発明までが、大部分は霊界から伝わって来る。人間の手で受持つのはホンの一部分で、言わば霊界の偉大なる思想を、地上生活に巧みに応用する丈の工夫に過ぎない……。』私も自己の体験からこれに賛成します。兎に角かく解釈した時にのみ天才的人物の業績が合理的に説明ができます。北米の発明王エディソンなどがその好典型で、彼自身も、自分が神霊論者であることを自白して居ります。

 以上は霊媒能力の単なる外面的分類でありますが、ここに霊媒を説くに当りて、是非とも看過してならない重大事項があります。外でもない、それはいかなる霊媒の背後にも、必ず彼等の仕事を助くる所の霊的存在――守護霊、司配しはい霊が控えて居ることであります。これは心霊実験の結果から帰納された事実で、従ってこれを無視することは最早到底不可能なのであります。

 卒然として守護霊だの、司配しはい霊だのという用語に接する方々は、不審を起すに相違なかろうと思われますから、ここに通俗的略解を施して置きます。私の所謂いわゆる守護霊というのは、つまり本人の先天的霊的守護者で、心霊実験の結果からいえば、通例数百年前に帰幽きゆうせる本人の遠祖であります。従って各人にはかならず一人の守護霊――男子には男性の守護霊、又女子には女性の守護霊――があり、欧米人士の所謂いわゆる『ガアデイアン・スピリット』というのがこれに該当するようです。又私の所謂いわゆる司配しはい霊というのは、大体後天的の霊的補助者で、必要に応じて本人の仕事を助けるべく、後から感応して来るのであります。故に複雑な仕事をする人には通例沢山の司配しはい霊があり、又屡々しばしば外国系続の司配しはい霊も見出されます。欧米ではこの種の霊達を『コントロール』、『ガイド』、『ティーチャー』などと呼びます。今後守護霊、司配しはい霊の文字が頻繁に使用されると思いますから、読者は何卒なにとぞ右につきこの概念丈は是非確把して居られるように願います。

 右述べた通り、守護霊、司配しはい霊はどんな人にもあるのであります。くわしい事は後で解説を試みることとし、ここでは単に標本として、幾人かの知名の霊媒の守護霊、又は司配しはい霊を紹介するにとどめます。――

 (イ)ステーントン・モーゼス――彼の多方面に亘れる霊媒能力は、所謂いわゆるイムペレエタア教団の仕事であります。右教団の指導者はイムペレエタアと称する一人の古代霊、その部下にはレクタア、ドクタア、その他総計四十九人の司配しはい霊が働いて居ります。

 (ロ)パイパア夫人――フイニット博士、ペルラム等が主なる司配しはい霊であります。ペルラムは一八九二年に帰幽きゆうした近代霊です。

 (ハ)ステッド――ジュリアと称する近代女性の霊が司配しはい霊となり、自動書記で所謂いわゆる『ジュリアの通信』を送ったことは、あまりにも有名であります。

 (ニ)ゴライヤー嬢――姓名は報告されて居ませぬが、彼女の卓子浮揚現象の背後には、科学者、医師その他一団の司配しはい霊が働いていたことは、クローフォード博士の著書中に明記されて居ります。

 (ホ)レナルド夫人――夫人の霊言現象を受持って居る守護霊は、フイダと称する一女性で、これは夫人の遠祖に当るということです。

 (ヘ)クランドン博士夫人――亡兄のウォルタアが司配しはい霊。

 (ト)北村霊媒――その守護霊は約三百年前に帰幽きゆうした安藤帯刀、司配しはい霊は僧月#眞、その他二三の自然霊。

 (チ)小林霊媒――亡児和彦少年が司配しはい霊、守護霊は徳川初期の一女性。

 (リ)亀井霊媒――印度霊のモゴールが司配しはい霊中の首領、他にも沢山の補助霊が居ります。

 (ヌ)本吉霊媒――天空と名告なのる徳川時代の人霊が守護霊があります。司配しはい霊としては元龍と名告なのる人霊が霊言現象を受持ち、又最近にはゼネールと名告なのる印度霊がかかりて物品引寄を始めました。

 とても際限がないので実例の列挙はこれ位にとどめて置きます。一部の霊媒中には守護霊、司配しはい霊の存在を知らないものもありますが、これは調査不足か、又は故意にその発表を控えて居るかであります。よくしらぶれば、何人の背後にもただ一つの例外なしに、守護霊又司配しはい霊が発見されます。

 念のためにここに附記して置きますが、不良性の迷信団体の中には守護霊、司配しはい霊に就きて、しばしば非科学的な奸手段を講ずるのがあるから大いに警戒を要します。奸手段の一つは、故意に守護霊又は司配しはい霊の存在を否定し、『神は内にある』だの『神人合一』だのという抽象的用語をもって、すべてをカムフラージュすることであります。うした連中の背後には、通例低級の動物霊などが暗中飛躍を試みているものと思考すれば大過なしであります。奸手段の他の一つは、前者とは正反対に、自己の守護霊として、立派な大神霊の名を僣称することであります。これも学問上到底成立しない事柄であるから、若しそうした霊媒につかったなら、最初から大いに用心して戴きたいのであります。何故そうかということは、講述の筆がすすむにつれて次第に闡明せんめいされてまいります。


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