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第四講 心霊写真の検討

 一 心霊研究と写真術

写真機の発明で長足の進歩を遂げた心霊研究。―― 一切の条件を具備した心霊写真を無視するは容赦し難き罪悪。

 物質化現象の講述をおわりて私はこれから直ちに心霊写真現象の講述に移ろうと思いますが、厳密にうとこの両者は全然無関係の現象ではなく、ある点において重なり合ってります。ただ物質化現象においては主として人間の五感を用いて直接に幽霊の正体をつかまんとする努力であるに反し、心霊写真にありては、写真機という重宝な道具を利用して、間接にこの捕捉し難きシロモノを取って抑えようとする努力なのであります。

 前にも述べたとおり霊魂の物質化には濃度が幾通りもあります。私は便宜のめにその濃度によりて(一)幽体、(二)気化体、(三)半物質化、(四)全物質化、の四種類に大別しましたが、物質化現象と申す場合には普通最後の半物質化と全物質化との二つの場合に限ります。幽体だの気化体だのは人間の普通の感覚には上らないので、大抵度外視されてります。ところが写真の乾板は人間の感覚よりは遙かに感受性が強いので、ドウかすると気化体や幽体やらをはッきりつかまえて呉れますから、ここに心霊写真という一つの研究項目が成立することになったのです。しも写真の発明がなかったら、今日の心霊研究は余ほど未発達の状態に取り残されたであろうかと思考されます位で、心霊研究と写真の発明とはなかなか密接な関係をってります。

 現に日本でも、写真術につきての知識応用が遙かに欧米より劣っているにも係らず、相当古くから幽霊写真だの、念写だのということが行われてります。例えば明治の初年横浜の某写真館で偶然に出来上がった某寺住職の亡妻の幽霊写真、又福来博士等によりて研究された高橋貞子女史の『妙法』『金』等の文字の念写、その他まだ沢山ありましょう。現在においてもひそかに心霊写真の研究を試みてる人が二三あるようであります。

 んな次第ですから欧米諸国において早くからこの種の写真が発達したことは当然であります。ず心霊写真の元祖と云ったら北米ボストン市のダブリュー・エッチ・マムラア W. H. Mumler. を挙ぐべきでありましょう。時代は実に一八六一年(文久元年)の昔に溯ります。むろん最初はホンの不用意のもので、この人が別に霊魂論者であったという訳でも何でもなく、写して見たらたまたま幽霊の姿が現われてたので、最後に専門の幽霊写真師をもって任ずることになった丈の話であります。従って彼の行動は世人から大々的疑惑の眼をもって睨まれ、ついに詐術の件をもって裁判沙汰にまでされましたが、それは全然事実無根の事柄であったらしく、有力なる証人続出して結局無罪放免となりました。右の詳細は一八六九年六月発行の『スピリチュアル・マガジイン』に掲げられてります。

 一方んな真面目の心霊写真が発達しかけて後の研究者の先駆をなしたと同時に、他方においては巧妙なる幽霊写真の模造がさかんに行われて世人を惑わし、どれ丈斯学しがくの発達を阻害したか知れません。この憎むべき影響は今日でもすッかり除かれず、心霊写真といえば直ちにそれは詐術の産物ではないかと色眼鏡で観られんとする傾向があります。実に困ったものでありますが、しかし写真機の性質は幽霊写真の偽造をやるのにはなはだ誂え向きに出来ていると云っていいところがあるようであります。

 私自身は写真術の知識はほとんど皆無でありますが、専門家の説くところに依ると、幽霊写真の模造方法はなかなか沢山あるようです。例えば

 一 取框とりわく又は乾板をスリかえること。

 二 二重写しをすること。

 三 ある形像を附したるフィルムをレンズ内に置くこと。

 四 暗箱又取框とりわく中に陽画トランスペアレンシィを隠すこと。

 五 取框とりわくの内側に放射能の物質で形像を描くこと。

 六 掌中に放射能又電気仕掛の器械を隠して置いて乾板に感光せしむること。

 七 薬品をもって背景に仕掛をすること。

 八 暗箱の前面又は側面に小レンズを附して外部の形像を取り入れること。

 九 二重焼附をすること。

等であります。これでは全く油断がなりません。うッかり心霊写真らしいものが出来たからとて、軽々にこれを信用することは大々的禁物であります。

 同時に又一部の偏狭なる唯物論者が唱えるように、その模造が可能であるからと云って、一切の条件を具備した真正の心霊写真をも無視せんとすることは容赦し難き罪悪で、たまたま彼等の心事の陋劣ろうれつを曝露するに過ぎません。本邦の最高学府の教授その他にも此種このしゅの破廉恥漢が伏在するのを見て、私は衷心から日本国のめに深くかなしむものであります。

 私は心霊写真に関する学理的方面をのべるに先立ち、心霊写真の代表的事実を紹介することに致します。


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