第六感と精神統一法

(五) 精神統一の準備的工作

 以上で一と通り精神統一の修行に対する予備的知識ができ上ったと考えますので、これからそろそろ本題に入ります。真先きに私は統一の準備的工作につきて申上げます。

 第一の準備工作は、

  できる丈肉体意識と絶縁すること

であります。すでに申し上げた通り人間の運用機関は四つに分れ、従って人間の意識も、欲望、感情、理性、叡智の四階段に分れます。右の中で御同様われわれ人間が一番濫用したがるのは肉体並にその受持の慾望であります。試みに大都会の夜の街でも御覧なさい。何と各種の慾望満足機関の発達していることでしょう!

 が、われわれ人間にはただ口腹その他の慾望の満足ばかりで承知ができないところも備わってり、文芸とか、思索とか、道徳とか、国民精神とか、宗教とか云った問題に相当痛切な関心を有します。これは人間の各種のエーテル体が相当発達を遂げている何よりの証拠で、統一の狙い所もつまりその点にあります。形式方法はあとでのべますが、兎に角われわれは統一によって、できる丈肉体意識と絶縁し、そしてできる丈下積になっている高級のエーテル意識を開発せねばならないのであります。それが決して無理のない仕事であることは、私がこれまで述べたところで明瞭と存じます。われわれは決して新たに何物かをくつ附けるのでも何でもない。単に自分に有るものを培養助成せしめる丈であります。

 無論各自のエーテル体の発達程度には先天的に相違があるので、統一によって達し得る境地は各自別々で、こればかりはちょっと人力をもって変更はできません。『自分もエディソンのような大発明家になりたい……。』勝手にそんな注文をしてもずダメです。

 さてうして肉体意識との絶縁に成功した時は、早速起って来る現象は何かというに、それは各自の平生の糟が浮び上って来ることです。もっとくわしくいえば従来その人に共鳴感応して、人知れず悪影響を及ぼしていた各種の憑依霊――主として地縛の亡霊動物霊下級自然霊が、表面的活動に移って来るのであります。無論これはすべての人がことごとくそうだというのではありません。幸いに祖先も立派、本人の人格も高潔であれば勿論むろんそんなイヤなものは憑いていません。が、それはむしろ異数で、大ていの人は過去において祖先の作った多少の悪因縁を背負ってり、又自分で作った罪過もあり、従って多少に係らず、何等かの不良霊の影響を受けてるものと思うべきであります。平生それ等は肉体の奥に潜伏してり、ちょっと目立ちませんが、統一の結果肉体意識の断滅と同時にヒョロヒョロ表面に浮び出てまいります。こいつそのままに放棄して置けないので、ここに是非とも

  心身の浄化

という仕事が必要となってまいります。これが統一の第二段の準備工作であります。インチキ宗教団体等では、少しもこの点に対する考慮がなく、『神想観』だとか『神人合一法』だとか、勝手な美名をくつつけて憑依霊の跳躍に任せて置くので、とても統一の本来の目的が逹せられず、却ってうっかりすれば発狂者などを作りかねない。

 不良霊の処理――口にいうのは何でもないが、実際問題とすればこいつは全く至難の業で、しも有効に、そして迅速にその目的を達しようと思わば、どうあっても適当な霊媒――没我式の巫女型霊媒が要ります。強大な念力で駆除することも一法ですが、それでは無理が出来て面白くない。それよりはそれ等の憑依霊を本人の体から霊媒の体に移して、そこで諭すべきは諭し、叱るべきは叱り、適当に解決する方が、どんなにも簡易でつ親切だか知れない。瘋癲ふうてん病院の経営者たるロサンゼルスの医師ウィックランド博士なども右の方法で異常の好成績を挙げてります。同博士夫人が誂向きの霊媒なのです。

 私の経験からいつても、現在日本でうした目的に無類の手腕を有する霊媒が二三ありますので、どれ丈数多く心身浄化の最初の難工事を引受けてくれたか知れません。


(四) 人間の環境
と人間の隣人

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(六) 精神統一の目標


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