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果たしてウイルソンか?

(七) 不平は大禁物

 五月七日の通信は短いものであるか、なかなか棄て難い教訓が蔵されて居ります。――

『人類の大多数は相当の興味をもって人生を送っている。日々の業務、家庭の情味、趣味、道楽、物見、遊山……そんな事で満足して、生から死に達するまでの行程を心静かに辿って行く。それ等に満足し切れないものは通例非凡の能力を恵まれた人達に限る。彼等は自分の才幹を自覚しておのずと心が落つかない。自分は社会の貴重なる要素であり、自分の能力は他人の幸福増進のめに使用さるべきであると考えるのである。ところが世間はかならずしも自分の特殊の長技を認めてくれない。そこで、しもそれ等の人達が才能にともなえる丈の強固な人格をそなえて居ない場合にはただ気を腐らすばかりでなく、ともすれば人を怨み世を呪うようなことにもなる。ただ幸いにして人格者であれば、不遇のめに自己の精神をきずつけるような事なく、暗黒裡にありてもよく信念を保持し、いつかは世に用いらるる日もあるであろうと泰然として時節を待つことができる。

『ところが、若し人間に取りて地上の生活がただ一場の準備期であるという真相が判れば、彼等はどんなにより平然として与えられたる境遇に心から満足することができるであろう。無智な現世の同胞が自分の能力を賞味してくれる、くれないなどは一向問題にならなくなる。何となればその能力は墓の彼方かなたの世界においてどんなにでも活用される見込があるから……。

『こちらの世界では何人も自己の能力を極度に発達させるべく奨励される。しかもその奨励は自己の内部から湧いて来る元気が有り余って抑えんとしても抑えられないのである。それのみならず無限の時が与えられ、又うえも病も自分の仕事の邪魔をすべく闖入ちんにゅうするうれいがない。

『であるから、われとわが才能を自覚して居ららるる方々は大に勇気を鼓舞し、大にその能力を尊重してウンと磨きをかけて置くが良い。来世へ行った時、それがどんなに甚深なる幸福の種となるかは恐らく諸君の想像以上であろう。』


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