ステッドの通信

二九 物質の海に実在する自我


ステッド『人間の心にわれわれの思想を印象することは困難である。それはあなた方の心が濁った水のようなものであるからで、われわれは飽まで心の透明な、そして心の落ついた霊媒を必要とする。

『あなた方の方では精神を統一して私が放送するものを受けとるべくつとめてください。そして後で注意して修正を加えてください。

『私はこれからわれわれの生息する「物質の海」につきて物語ろうとする。大洋の魚族と同じく、われわれは皆物質の大洋中に生息する。この宇宙に属する限りわれわれは物質と絶縁することはできない何となればわれ等の住む宇宙は物質であるから………。

『物質はいろいろの方式でわれわれに影響する。一例を挙ぐればかの光である。われわれは光の海に泳いでいる。われわれ自身は物質ではないが、ある意味において光である。光の一種である。われわれは光を放つこともできれば、又光を駆使することもでき、又光を用いてある形態を造ることもできる。日中にはその色は白っぽく見えるが、夜間にはもっと明るくすることもできる。

『しかし、われわれは地上の人達を驚かすことを欲しない。ドウも人間はびっくりし易くて困る。

『多くのものは生命の永続を信じ、愛する者が他界に生存していると思っている。が、いざ死者が姿を出したとなると、恐怖心に襲われないものは極めて少ない。疑もなくそうした恐怖心は永生の事実が一般に知れ亘るにつれて次第に薄らぐではあろう。われわれとしては常に地上の人に混り、地上人の影のような姿を目撃してるのだが、あなた方は少しもわれわれの事を知らずにる。われわれはあなた方には見えない。もっともそれはその筈だ。あなた方の方からいえばわれわれの所在地は「空」だから……。

『われわれには時もなければ場所もない。これはあなた方には容易に腑に落ちますまい。が、われわれは寸毫の場所も塞がない。われわれは大さもなければ、形もなく、巾さもなければ厚さもなく、目方もなければ実体もない。それにも係らずわれわれは立派にある。われわれは実在をもつ。実在は働くべき時も場所も要しない。』(四月九日)


二八 過去も現在も
同様に映ずる世界

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三〇 過去と未来


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