ステッドの通信

二三 トンネルの両面開掘


ステッド『久しい間人間は,何等なんら確実なる知識をたなかったにも係らず「余はかく信ず」と断言することをはばからなかった。ところが、現在の私は現に新らしき生活を経験し、自分の知れるところをありのままに発表しつつあるのだ。現世の悩める人達は、安んじて、やがて苦悩からのがれいずる日の必らず来ることを期待してよい。愛するものを失った人達は必らず再びそれ等にめぐり合える。幽界には疾病もなく、欠乏もなく、又苦痛もない。たしかに地上生活よりも結構である。

『余はこの事実を伝えるべく全力を挙げている。が、幽明の交通はまだはなはだ困難である。何となれば地上の最も優秀なる頭脳の所有者がその実験に応ずることを避けるからである。この仕事は甚深じんしんの研究を要する。幽明交通は科学的頭脳の所有者がその衝に当るべきであるのに、現在では、それが軽々しく信ずるもの、感傷の涙に咽ぶもの、受売うけうり説にかぶれているもの等に委ねられている。

『私達はこの仕事の為めに地上の研究者達を途中まで出迎えることを辞しない。それは丁度両方面から闇を通してトンネルを開掘するが如きものである。兎も角も教育ある者がこの仕事に当ることを希望する。私は彼等がきっとそうする事を信ずる。幸いに新らしい機運……つまり先入的見解から離脱して、思いをひそめて他の正しき主張に耳を貸そうとする新らしい傾向が世の中に瀰漫びまんしつつあることはよくわれわれに感得される。』(三月二十八日)


二二 音楽と心霊実験

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二四 絶大なる透視能力


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