ステッドの通信

二〇 異性間の愛着


ステッド『その天賦の心霊能力をもって死者と交通を開き得る人は地上に決して少しとしない。彼等はただその思念をそちらへ向けさえすればよいさすればその求むるものは歓んでこれに応ずるのだ。それがとりも直さず幽明の交通である。求むるものはわれわれの立てる岸の此方こなたにも沢山る。それは当然すぎるほど当然の話ではないか。

『一たん幽界に移ったからとて、そのまま一切の関係が断たれ、一切の愛情が消ゆるものと、想像すべき理由が何処どこにあろう。もとより幽界に来れば、そこに新らしき関係は出来る。が、るい関係は依然として強く残る。イヤ肉の煩いから解放されてる丈それ丈その感は一層強い。試みに慾念から解放されたる心境のいかに深刻なるかを思え。浮かれたる感情はない。がその代りに一層強められたる情緒がある。嫉妬と所有慾とは最早もはや跡方もない。それは肉体附属の相に過ぎない。われわれを引きつけるものは女ではなくして単なる個性である

『幽界に来てからも、異性と異性との間にお一種の引着力があることは私にもよく判る。これは地上に於ける慾念の遺物であるのか、それとも其所そこに何等かの根強き理由が伏在するのか私にもよく判らない。恐らく陰陽の間には微妙なる反応が起り一方に欠くる所のものを他方が補うのではないかと思う。兎に角異性間の愛情――地上にありてはそれが男であり、女である為めに発生するものと想像されてたが、幽界へ来てからも、そうした関係が依然として存在することは事実である。』(三月十六日)


一九 より大なるものの信仰

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二一 解放の日


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