ステッドの通信

一四 書籍ヌキの文学


ステッド『私達はパンの問題とはまるきり没交渉である。私達の食糧は精神的のものであり、私逹の心は無限に拡がるのである。が、私達が初めて幽界へ来たばかりの時は依然として先人的僻見へきけんで縛られている――地上生活中に注入された幾多の束縛やら禁断やらで……。が、私達は次第次第にそれ等のものから超脱する。真理の風がそれ等のものを吹き散らしてくれる。そして帰幽当時にっていた少量の信念が、めきめきと芥子の種子たねが生長するように生長する。

『あなた方に果して会得し得るかドウか知れないが、あなた方の有する書物――印刷し、装禎してあるボテボテの重い書物は、幽界では一の光体なのである。幽界の書物の生命はその価値でまる。知識の入門は地上生活において行われ、その意味に就て人間界の創作物に興味がないではないが、しかし創造的才能は幽界に来て初めて天空海闊的の大発達大飛躍を遂げることができる

『従って私達の有する文学、音楽、絵画等のいかに優れているかは想像に余りあるであろう。書物ヌキの文学言葉ヌキの文学――それは純然たる思想であり情緒であり又経験である音楽と言っても楽器はない絵画と言ってもカンバスはない。人間が色を発明したのは、色が既にかれの心に存在したからである。私達はその心の色を直ちに絵画に使用する

『人間の美術は物質的形態を取るが私達にありてはその必要が無くなっている。』 (三月九日)


一三 不断の振動

目  次

一五 人間はただの操人形


心霊図書館: 連絡先