ステッドの通信

一二 肉体の醗酵事業


ステッド『又書いてください。――私達は幽明交通法の完成に努めている。それは次第に発達しつつある。現に年々歳々心霊問題に対する理解が進んで来てるではありませんか。それは正に醗酵です。――然り大きな遅鈍なる肉塊を徐々に醗酵させる仕事です。霊界居住者の大部分は過去に対して一向無頓着である。彼等は地上の事物と全然縁を切り、ただ自己の現在と未来とに対して興味を有ってるに過ぎない。然しながら中には私見たいに地上の人達の苦悩煩悶を記憶して居るものもある。それ等のものが、人間の絶望と落胆との終において、新たなる死後の生活が展開することを伝えて、無量の慰藉なぐさめと援助とを分つべく努力するのです。

自我――一つの人格であってしかも実体を有っていないのがまことの自我であります実在ではあるが外面的形態はない。これに対して、言語、大き、厚さ、重さ、形などは全然適用されない。無論これを想像することはあなた方には困難に相違ない。しかしあなた方も良く知られる如く、心に対する心の威力は実に大きい。例えば遠き昔の詩人の作品が新時代の青年少女の心に多大の感化力を有っているのを見ても判るでしょう。

『あなた方の心は肉体の内に宿ってる。私達の心はその宿房を離れてる。ただそれ丈の話です。大てい私達の境涯がお判りでしょう。

(三月四日)


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一三 不断の振動


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