ステッドの通信

一〇 脊負っている殼


ステッド『昨日までの世界は伝統と約束との殼を脊負っていて動きの取れぬものであったが、幸いにして諸君は迅速にこの状態から脱却しつつある。今や世界の人類は幾多の問題……その脊負っている殼から先ず脱れた上でなければ到底考慮に上せ得ない諸問題の解決に忙がしい

しも諸君がこの形勢の変化を達観するならば、いかにその影響の甚大であるかを認め得るであろう。そは窮極きゅうきょくおいかならず各国の政府を動かし、戦争などを中止させるに相違ない。もっとも死後生命の存続ということは、これは決してあたらしい信仰ではない。この運動の先駆者となった学者達にはあたらしいものでもあったろうが、民衆はすでにその事を信じてた。もちろんわれわれが行いつつある通信によりてその内容が一層豊富になり、又一層正確味を加えたことは事実であるが、しかしそれは決して新規の知識ではない。人類は現世において悲喜哀楽の数々を重ね、かなわぬ望みの為めに間断なく悩みながらも、地上生活がすべてであるとは決して信じなかった。それだから彼等は教会にも行き、寺院をも訪れ、説教によりて自分の信仰の保証さるることを渇望してたのだ。未来に対する信仰はすでに存在してた。今後一層その信仰に裏書きして行くことができさえすればそれで民衆はますます満足するのだ……。』(三月二日)


九 科学的知識

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