続幽魂問答

四 不浄と災厄

山本。御語中なれど、ここに取立てて尋ね申すべきことあり。実は当家火難の運気至れる由をきき当家の主人いたく心を悩まし、吾等へ頼むにより、昨日より家運長久の祈祷をなしたるが、この祈祷にて凶運は消失するものか。しそのことかなわずとならば、いかにせばこの難を免るべきか。御存じあらば教え下されよ。

 作次郎、杜氏等もその義は篤と教えて置かれたしと口を揃えて依むのでした。

幽魂。貴殿方丹誠の御祈祷にてその凶運は免れ得べし。

山本、吾等の祈祷にて災厄を免るということは如何にして知らるるや。

幽魂。祈念に依りて災厄を免るる根元の道理は我等如き霊魂の未だ知る能わざる所なれど先月我等に神法御祓等を施されしがめに数百年間住み居たるわが墓地の頓かに穢わしくなりて再び住居し難きまで昇級したるを見れば其神法のいかに難有ありがたきものかは推して知るべし一家の凶運もなどて此法によりて消失せざるべきつ今は主人をはじめ、家内の者ども、心からあやまちを悔ゆるの誠意あれば、開運のいとぐちの開けむは確かなり。

山本。シテ此度このたびの火災は神の怒りか、邪神の所為か、た竈神の責罰か、祈念に就ての心得方あれば誨え玉え。

幽魂。世の禍は人の仕損じより起ることも多けれど、又神の御怒りに触れる場合もあり。又邪神のすさびより起れるもあり。はいかなる故とも知れずして不図ふと起るものもあり。時とすれば竈神を粗末になしたりとで、その怒りに触れぬこともあるなり。

山本。此度このたびの事は竈の神の御怒りにてはなきや。

幽魂。さればこれを竈神のすさびと言えば言われざるにもあらず。邪神は好みて人の害を為し、神明はつとめて邪神を除き玉う。すなわち竈の神の司り玉う竈に不浄を集め無法を働く事はこれ邪神の望む所にして神明の嫌い玉う所なれば凶事はこの辺より起るなり。宮崎山本の御両所より、当家の者どもに篤とこの道理を教え玉われよ。誰も家業の忙わしき時は天地の大本の理にもとりて物事を粗略にし穢れを招ぎ易きものなればよくよく心附くべきことなり


三 伝家の宝刀

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五 地理の穿鑿


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