幽魂問答

はしがき

 この記録はもと福岡県志摩郡久我村の神道家宮崎加賀守大門という人の手記にかかり、久しい間門外不出の家宝として同家に秘蔵されてあったものであります。事件は世にもまれなる憑依現象で、数百年以前に切腹した一人の武士の霊魂が岡崎家の若主人市治郎なるものにかかり、つぶさに当年の怨みを語り、又幽界の機微を漏らしたものでありますが、審神者さにはと憑依霊との問答がいかにも要領を得てり、二十世紀の心霊研究者に取りても正に絶好の参考資料たるを失いません。全くもって掛値なしに世界有数の心霊記録というべきであります。ただこれができた時代は今からほとんど一世紀も前ですから原本の用語文脈が現代人には少々まわりくどく、 折角の好記録も不用意の読者から敬遠さるるおそれがありますので、思い切ってこれに現代訳を施し、つ適宜に章節を附して、できるだけ読み易いものに致しました。無論その内容には一糸を染めず、全然原意を保存してありますから、読者は原本に対すると全然同様の信頼を本書に置かれてごうも差支ありません。――(編者)


 『幽魂問答』

目  次

一 事件の発端


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